高市政権vs麻生副総裁の政局争い|7月17日会期末までのシナリオを解説

高市政権交代のシナリオ 社会問題
Political Analysis 2025年6月26日

【国会終盤・政局最終局面】

7月17日会期末まで何が起きるか

6月25日、2つの重大な出来事が同時に起きた。高市官邸 vs 麻生自民党本部の権力闘争が最終局面に入っている。

焦点① 維新「バラスぞ」脅し

6/22の高市・吉村投手会談(同席:木原官房長官・遠藤総理補佐官)での密約:

  • 高市総理が都構想への賛成を表明
  • 副首都法案の附則(住民投票範囲拡大規定)を削除で合意

自民内から維新批判が噴出→維新・遠藤孝志国対委員長が6/25に反撃。「これ以上言うなら本当のことを言わざるをえない」=高市総理を脅している。バレて困るのは高市本人。

焦点② 麻生の同日夜カウンター

遠藤発言と同じ6/25夜、麻生・鈴木・萩生田 × 玉木・榛葉・古川の6者会談が実現。

高市総理は外されたまま、自民党本部と国民民主が実質的な連立協議に入った。

  • 定数削減法案(維新提案・国民民主に不利)の先送りを要求
  • 副首都法案の事実上の廃案工作
焦点③ 麻生「ポスト高市」布石

7/1、地域未来議員連盟を結成予定。中核:麻生・岸田・茂木の3者。

岸田・麻生・茂木の「仲直り」を党内に見せつけ、ポスト高市=茂木シナリオを具体化する布石。

7/17までの2シナリオ

▶ 麻生シナリオ成立
副首都法案・定数削減 廃案 → 維新が連立離脱 → 国民民主が連立入り → 麻生支配完成 → 高市退陣圧力
▶ 高市が踏ん張る
麻生と決裂し維新と両法案を強行 → ただし自民内の数で勝てるかは不透明

※文字起こし・解説動画をもとに作成(鮫島タイムス 2025/6/26 配信)

維新が「密約をバラす」と総理を脅した夜

6月25日、国会終盤の政局に大きな地殻変動が起きた。

この日、日本維新の会の遠藤孝志・国会対策委員長が記者団にこう語った。

「これ以上おっしゃられるなら、全部中身を僕が申し上げるようになるんで、皆さん気をつけていただきたい」

一見、自民党内の維新批判に対する牽制のように聞こえる。だが、この発言の本当のターゲットは自民党議員ではない。高市早苗総理大臣その人だ。


4者会談で何が話し合われたか

遡ること3日前の6月22日、総理官邸で「投首会談」が行われた。出席者は4人。高市総理、木原官房長官、吉村洋文・維新代表、そして遠藤孝志・総理補佐官兼国対委員長だ。

この会談で、2つの合意が成立したとされる。

1つ目は、副首都法案の附則削除だ。維新は当初、副首都法案の附則に「住民投票の対象を大阪府全体に拡大する」規定を盛り込んでいた。大阪市民だけを対象にした住民投票では過去2回敗れてきた維新にとって、これは悲願の「ルールチェンジ」だった。しかし、自民党内がまとまらないとして、高市総理は「ごめん、この附則だけは削除してほしい」と直接頭を下げて要請。吉村代表はこれを飲んだ。

その代わりに成立した合意が2つ目だ。高市総理が大阪都構想への賛成を表明したというものだ。住民投票で負けるリスクを承知のうえで市民限定の戦いに乗った吉村代表に対し、高市総理は「都構想、賛成します」という一言を返したとされる。

これは事実上のバーター取引だった。附則削除と引き換えに、総理のお墨付きを得る。吉村代表は「総理がそう言うなら市民も動く」という一縷の望みにかけたのだ。


自民党内から維新批判が噴出

ところが会談後、自民党内が騒がしくなった。

萩生田光一幹事長代行をはじめ、大阪地元の自民議員らが相次いで口を開いた。「高市総理が都構想に賛成したわけがない」「あれは吉村代表の一方的な解釈だ」。まるで会談などなかったかのような言いぶりだ。

これに激怒したのが遠藤孝志だった。

「我々4人の中の話は言わずもがな。自民党さんの一部の方が外からやいやい言ってますけど、これ以上言うと僕も本当のことを言わざるをえなくなるんで、あんまり言わない方がいいと思いますよ」

遠藤氏はさらにこう続けた。「大ソ総理や木原長官がどう思われているのかも理解せずにお話するのはやめた方がいい」。会談の場にいた者だけが知る「本音」の存在をちらつかせた、巧みな脅しだ。

ここで重要な問いが生まれる。もし遠藤氏が4者会談の中身を暴露したとして、誰が最も困るのか。

萩生田氏か、自民党議員たちか。答えはノーだ。すでに麻生太郎副総裁と一体化した彼らにとって、高市・維新の密約が世に出ることはむしろ好都合でさえある。

本当に困るのは高市総理自身だ。

都構想に賛成すると約束した、附則削除を頭を下げてお願いした、さらには8か月間の連立関係のなかで麻生副総裁への不満を維新側に吐き出していた可能性もある。それらがすべて明るみに出れば、自民党内の基盤が一気に揺らぐ。

遠藤孝志は表向き自民議員を牽制しながら、その実、総理を脅しているのだ。


同じ夜、麻生は国民民主と6者会談

遠藤発言があった6月25日の夜、もう一つの重要な動きがあった。

麻生太郎副総裁、鈴木俊一幹事長、萩生田光一幹事長代行の自民党トップ3と、玉木雄一郎代表、榛葉賀津也幹事長、古川元久代表代行の国民民主党幹部が会食した。

これは何を意味するか。党首・幹事長クラスが双方から顔を揃えてテーブルを囲む。これが「本物の連立協議」の形だ。今年6月22日の「投首会談」が実は党首と官邸幹部だけで幹事長が不在だったこと、つまり正式な党間合意ではなかったこととは、まるで対照的な構図だ。

この6者会談で話し合われた内容として、維新が提案している比例定数45削減案の「先送り」要請が中心だったとみられる。この法案が通れば、国民民主党の議席は28から20へと大幅に減る。比例中心で戦う国民民主にとっては死活問題だ。「副首都法案も定数削減も通さない」という麻生ラインと、「両法案をなんとしても通したい」維新。両者の利害は完全に一致している。

そして高市総理は、この会談に呼ばれていない。


麻生が動かす「ポスト高市」シナリオ

翌7月1日、麻生副総裁が新たな議員連盟「地域未来議員連盟」を立ち上げる。

その中核メンバーに名を連ねるのが麻生太郎、岸田文雄前総理、そして茂木敏充外務大臣だ。

岸田政権では、この3人はいわば「三頭体制」を築いていた。だが政権末期に関係がこじれ、岸田政権崩壊後は別行動が続いた。麻生・茂木は高市政権誕生に貢献したが、岸田は小泉進次郎を支持するなど独自路線を歩んだ。

その3者が今、よりを戻す。それを党内に見せつけるのがこの議連の目的だ。

麻生が念頭に置く「ポスト高市」は茂木敏充だとされる。高市・茂木は総裁選のライバルであり、日米経済交渉でも高市総理は茂木を外して赤沢経済産業大臣に全権を委ねている。麻生・岸田・茂木が結束することで、「次」への準備が着々と進む。


構図をシンプルに整理する

現在の政局は、大きく2つのラインの対立だ。

高市官邸+維新ラインは、副首都法案と定数削減の両法案を今国会で通すことを至上命題にしている。維新にとってこれが連立参加の「果実」であり、失えば野党転落だ。

麻生自民党本部+国民民主ラインは、両法案を廃案に追い込み維新を連立から追い出すことを狙っている。その後に国民民主を連立に迎え入れ、麻生主導の体制を完成させる。

衆議院の議席数は自民316、維新36。圧倒的な数の差がある。正面からぶつかれば維新に勝ち目はない。だから遠藤孝志は「脅し」という奇手に出た。数で負けているからこそ、弱みを握って押し返すしかない。

高市総理は今、麻生の包囲網と維新の脅しの板挟みになっている。


7月17日まで、高市はどう動くか

シナリオは二つに絞られる。

第一のシナリオは、高市総理が維新との約束を果たす道だ。麻生副総裁と決裂し、両法案の成立に向けて正面突破をはかる。ただし自民内の造反を押さえ切れるかは未知数で、相当な政治的体力を要する。

第二のシナリオは、麻生の軍門に下り維新を見捨てる道だ。両法案を廃案にして、国民民主との連立枠組みに乗る。維新は怒り、遠藤氏が「暴露」に踏み切るかもしれない。だが麻生の強い後ろ盾を得ることで、政権の安定を選ぶという選択肢だ。

会期末の7月17日まで残り3週間。高市政権の命運を決める最終局面が、静かに、しかし確実に動き始めている。

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